（「江」(承水路)とは？）
水田の一部に通年湛水状態「江」（承水路）を創出し、水生生物の生息環境を確保する。次の機能を備える。
- 山側からの湧水を集め、稲作の用水源として、また中干し時には明渠として活用できる。
- 落水時や越冬期には、ドジョウの避難場所やヤマアカガエルなどの産卵場所となる。
- 低コストで容易に施工できる。
（計画・設計の考え方）
- 今後の取組を考慮し佐渡島内で営農の一部として実施されている素堀りの明渠構造とした。
- 背後の山林・水田・水路が連続性を確保できるよう留意した。また農家の要望を最優先し、山側法尻部からの湧水を用水として利用するとともに、落水時は速やかに排水できるよう落水口と連続した。
- 下幅0.6m・上幅0.9m・高さ0.3m・法勾配1:1の素堀構造とし、２箇所で60m施工した。なお、断面は農家の要望と佐渡島内での実施事例を参考とし、ドジョウの越冬等を考慮し素堀とした。
工事費（諸経費含む）は20万円で、ｍ当たり3,667円であった。
- 法尻部からの湧水を確実に捕捉できるように、また江(承水路)内の流水が確実に排水口へ導水されるように留意した。
- ドジョウは土壌が湿っていれば形状についてそれほど気にしないでも良いように推察されるが、対象生物ごとに生息に最適な「江」の形状を今後検討する必要がある。
（評価）
ドジョウ、小動物(両生類)について所期の成果を得た。
（維持管理）
- 農家は、つぶれ地部分を生産調整（転作）として算入すること、あるいは公的助成を要望している。
- 山側に「江」を設置した場合、山側法面の除草が困難となるので、除草の際の足場となるように山側に法先小段が必要である。また、江内部に水草が繁茂しにくい深さを検討する必要がある。
宮里 圭一 H21.2.23
