12. 地球環境問題の本質｜地球環境問題とはどのようなことか【第1章】―中道宏

■長い時間をかけて地球に物質と生命が循環する生物圏が形成された。
　その一員であった人類が農耕･牧畜という技術を開発し、物質と生命の循環を人類に都合のいいように利用し始め、人類圏が形成された。地球環境問題の始まりである。
　しかしこの段階までは循環の仕組み（フロー）を利用するにとどまり、環境問題も地域的に限られていたが、文明の進歩とともに人類は生物圏に対し圧倒的な力を持ち、驕るようになり、さらに産業革命以降は地球が長年かけて蓄積してきた化石資源等（ストック）を循環の仕組みの中に持ち出したことにより、地球の循環の機能を激しく損ない、地球規模の環境問題を惹起した。

■なぜ物質と生命が循環しなくなったか整理すると、次表のようになる。

	温暖化	オゾン層破壊	酸性雨	水質汚染	海洋汚染	森林破壊	砂漠化	生物多様性減退
生命を意識的、また無意識に殺傷し、その再生を絶った。				○	○	○	○	○
開水面と開土面を閉塞させる等循環の場を破壊した				○	○	○	○	○
地球の循環の能力を越える量の物質を循環の仕組みに放出、または仕組みから収奪した	○	○	○	○	○	○	○	○
地球に存在しなかった物質を創り出し、循環の仕組みに放出した	○	○	○					○

　物質と生命の循環が損なわれるようになった原因は、表側にあるように

（1）生命を意識的、また無意識に殺傷し、その再生を絶った、
（2）開水面と開土面を閉塞させる等循環の場を破壊した、
（3）地球の循環の能力を越える量の物質を循環の仕組みに放出し、または地球の循環の仕組みを損なう量の物質を収奪した、
（4）④ 地球に存在しなかった物質を創り出し、循環の仕組みに放出した、となる。

中道　宏　H20.2.27

12. 地球環境問題の本質

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