4．排出量0へのシナリオ｜気候変動は進んでいる

・CO2排出を0にする

①G7 サミットで「今世紀中に世界経済を脱炭素化する」ことが宣言されたように、国際社会は「産業化以前を基準に世界平均気温上昇を2℃以内に抑制する」という目標を掲げている

②IPCC報告書が、①の達成のためには今世紀末までに世界のCO2排出量をほぼゼロにする必要があると結論している。

今のままの排出を続けると、あと30年以内に2℃未満達成レベルを超えてしまい、いずれティッピングポイントを越え、引き返せない点に達し、文明は崩壊する。

すでにいくつかの提案がなされている。以下は、WEBからの情報である。

・ジェイコブソン　世界化石燃料全廃計画・・・風・水・太陽光（WWS）

①世界^１)
　エネルギー消費量

現在	12.5TW(兆ワット)
2030年	16.9TW　エネルギー利用効率を上げて　11.5TW

　エネルギー賦存量

風力	1700TW	利用可能量	40～85TW	現在利用量	0.02TW
太陽光	6500TW	利用可能量	580TW	現在利用量	0.008TW

　エネルギー利用計画

風力で51%　5MW大型風力タービン380万基
太陽光・太陽熱で40%　平均出力300MWを89千箇所
水力で9%

各国は	10～15年後には	新規エネルギーの25%をWWSでまかなう
	30年後には	新規エネルギーの100%をWWSでまかなう
	40~50年後には	既存の化石燃料をすべて置き換える

②米国2)

全米50州の電力供給、電力需要のパターンを詳細に分析し、今後の供給と需要がどのような変化を示していくのかをシミレーションし、2050年までのエネルギーの需供関係の変化を予測した結果、今後、

・	全米のエネルギー需要は2050年までに省エネ技術の進歩により、39％の削減が図られる
・	パワーグリッドの進化により、風力、太陽光、地熱、水力、そしてウェイトは低いものの潮流発電などによる電力供給がシステム内に統合されていくことにより、 2030年には再生可能エネルギーが全エネルギー供給に占める割合は80％となり、最終的には2050年までに100％を達成する

可能性については、技術的、経済的に可能であるが、最大の障壁はいくつかの特殊金属の不足と、政治的意思の欠如である。

・エイモリー・ロビンソン　新しい火の創造

「ロビンス博士とロッキーマウンテン研究所員達は、多数の外部の専門家達の協力を得て、

(i)	アメリカは2050年までに石炭と石油の消費を止めることができるか、
(ii)	エネルギー効率化と再生可能エネルギー社会への移行が、ビジネスによって推進され、永続性あるメリットを実現できるか

について研究・分析を行い、」^２)

「再生可能エネルギー（太陽、風力、地熱、バイオマス、小水力など）による効率的な経済システムのデザインを提唱し、・・・2050年には米国の電力の少なくとも80％はまかなえるというビジョンを提示し、検証して」^３)いる。

「但し、実現を阻止する現行の障壁を取り除くような教育、イノベーション、リーダーシップ、政策と規制の変更があればとの前提つきです。」^４)

・WWF「エネルギー・レポート～2050年までに再生可能エネルギー100%」

化石燃料依存が気候変動の最大の要因となっていることから、今日すでにある技術のみで

①世界全体および各部門でエネルギー需要をどこまで減らすことができるか
②その需要に見合ったエネルギーを持続可能な方で供給することができるか
を検討し、

下表のように再生可能エネルギー95%の実現が可能であり、
初期投資の大幅な増額が必要であるが、2040年頃には利益に転じるとし、
特に土地利用と土地管理、低炭素な生活スタイルの受け入れ等を求めている。^５)

・槌屋治紀　「WWFジャパン社会に向けたエネルギーシナリオ提案」^６)>

WWFジャパンの依頼により2011年7月から2013年11月にかけて
　「省エネルギー」シナリオ
　　需要量は半分に。
　　2050年のBAU比61.2%、1990年比51.8%.
　　（BAU：business as usualの略で、何も省エネルギー対策をとらなかった場合）
　「100%自然エネルギー」シナリオ
　　電力だけでなく燃料や熱を含む需要を100%自然エネルギーで供給
　「費用算定編」
　「電力系統編」
を纏めている。

・国際エネルギ―機関IEA　国際エネルギー展望2014^７)

　エネルギー効率の改善で38%
　再生可能エネルギーで30%
　CCS（Carbon dioxide Capture and Storage：二酸化炭素の地中貯留）で14%
燃料の切り替えと原子力で18% としており、30/(100-38)=48から、エネルギーの約半分は太陽光となる

1)　http://www.nikkei-science.com/page/magazine/1001/201001_022.html
2) http://www.businessnewsline.com/news/201506091253020000.html
3) http://blog.goo.ne.jp/coccolith/e/b306636efe8bd7213cb4cb910654b8d3
4) http://diamond.jp/articles/-/47457
5) WWF「エネルギー・レポート～2050年までに再生可能エネルギー100%」 http://www.kirakirahatuden.com/img/WWF_EnergyVisionReport_sm2.pdf#search=
6) http://ecocommunity.jpn.com/?p=974
7) https://www.iea.org/publications/freepublications/publication/EnergyTechnologyPerspectives_2014_ES_Japanese.pdf#search='IEA+Energy+Technolpgy+Perspective+2014'

中道　宏　H27.12.10

4．排出量0へのシナリオ

Seneca21st｜セネカ21st